夜、神社境内中央に組まれた約3㍍角の板床の舞台で太夫(田主)役の大当が詞章を唱えつつ、鍬を用いて、鍬初めから初めて田植えの所作を模していき、舞台をとりまく参拝者たちが太夫と掛け合いをしながら進められる。一連の田植え作業を苧紡ぎや鳥追いまで入念に行う。後半では小当が間炊持ちとともに、この日だけ開帳される「若宮さん」を抱いて現れる。「若宮さん」は水分神社の御神体とされる黒い翁面を着けた人形で、体中に紙縒が巻きつけてある。村人は具合の悪い部位の紙縒をもらいうけ、持ち帰る。古い詞章を伝えるとともに、近代に変化する以前の形を残した貴重な御田行事の一つである。
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