この行事は一年のはじめにあたり、神(仏)に対して最も望ましい稲作の過程を演じてみせてその年の豊作を祈るもので、一般に御田植・オンダ(御田)・田遊びなどと呼ばれているものである。手向山八幡宮の御田植行事は、田主を中心に苗代の水口祭から田植えまでが演じられる。田主は謡曲風の詞章を地揺と掛け合いで唱えながら演じる。途中、犂(すき)を使う場面では牛役の男子(牛童)が、田植えの場面では早乙女役の女子が参加する。行事は全体的によく形式が整えられていて、使用する用具・面なども銘のあるものや特色あるものが伝来している。同社に伝わる『平城八幡宮御田植神事之図』(文政元年〈1818〉)によると、既に16世紀後半には、この行事が行われていたらしいことも窺える。奈良市内に伝承される御田行事のなかでも、よく形式の整ったものであり、代表的な御田行事である。
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