十津川支流の谷々に点在する集落に伝わる盆踊りは近世から昭和初期まで各時代の流行歌の旋律・歌詞が重層的に伝承されている。演目は「大踊り」「祝い歌」「踊り歌(馬鹿踊り)」のおよそ3種類に分類できるが、「大踊り」は男性が中心となる風流踊りの形を受け継ぐ踊りで、現在は小原と武蔵、西川地区の3ヵ所にだけ残されている。武蔵と小原では1曲の演目名だが、西川では、「よりこ」「いりは」「かけ入り」の総称となっている。風流踊りは、県北部ではおもに雨乞いの踊りとして伝わってきたが、県南部の山村では、正月やお盆の行事として踊られてきた。盆踊りは、本来はお盆に家に戻ってきた祖先の霊を供養し、なぐさめて送り返すためのものであった。
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