奈良県無形文化遺産アーカイブ

奈良豆比古神社の翁舞

猿楽(能)のルーツとされる翁舞は、室町期から大和各地の祭礼神事に奉納されていたもので、当社には応永20年(1413)の能面や装束も多数伝えられている。また翁講には寛政3年(1791)の記録が残り、この頃には地元の人々が翁舞を演じるようになっていたと考えられる。午後8時頃、当屋が神前の蝋燭を点けると、笛が奏されて小鼓が打たれ、太夫と地謡が掛け合う前謡が始まる。続いて、千歳舞・太夫舞・翁三人舞・三番叟舞の順に演じられる。太夫の両側に脇が並び立つ翁三人舞は春日大社薪能の呪師走り以外、他にみられない珍しいもので、かつて春日若宮おん祭や薪能に関与していた年預の役者のもっていたタイプとされ、古い時代の翁舞の様式を伝えるものとして注目される。

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